久しぶりのブログです
ちょっと前、NHKで食物繊維の特集をやっていました。
水溶性の食物繊維を取ると体にいい、というお話。
まあ、それはそうでしょう。
ただビックリしたのが、
「食物繊維を取ったら、掌蹠膿疱症が治った」
という患者さんの話が出てきたこと。
掌蹠膿疱症は、非常に治りにくい病気で、完治させる治療法はありません。
そのため昔から、「ビオチン(ビタミンの一種)内服で治った」という女優さんの経験談が必要以上にクローズアップされたこともありますし、
扁桃摘出なんていう乱暴な治療が行われていた時期もあります。
「金属のアレルギー」で起こるという説は昔からあって、金属の入れ歯をセラミックに変えると治った症例もあります。
ただ最近では、掌蹠膿疱症の原因になるのは齲歯(虫歯)や歯槽膿漏からくる慢性の細菌感染であり、本当の金属アレルギーは稀というのが定説です。
つまり、入れ歯をセラミックに変えて治ったという患者さんは、そのときに一緒に虫歯の治療もしたから治ったというわけです。
で「食物繊維で掌蹠膿疱症が治る」というのは、またなんとも微妙な話です。
そんな話は学会発表でも聞いたことはありませんが、腸内に病巣感染がある人なら効果があっても不思議じゃありません。
興味津々で見ていたら、
「こんなにひどかった症状が、こんなにきれいに治りました」
といわれて出てきた治療前の写真が「掌蹠膿疱症」ではなく、「異汗性湿疹」という全然別の病気でした。
たぶん、アレを見ていた全国の皮膚科の医者が全員、同時に「それPPP(掌蹠膿疱症)じゃないじゃん!」とツッコミを入れたんじゃないでしょうか?
(まあ、異汗性湿疹も治りにくい病気ですから、食物繊維で治ればすごいことですけどね)
残念ながら、そうそううまい話は転がっていないようです。