訃報

森皮フ科クリニック院長の中央林間日記 は移転しました。

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中林康靑先生がお亡くなりになりました。

今から25年ほど前、私が研修医一年目に勤務した三井記念病院の部長だった先生です。

ド新人だった私に非常に良くしてくださり、診察や手術のやり方、論文の書き方など皮膚科医としてのイロハを教えていただきました。

非常に厳しいことで有名な先生でしたが、なぜか私には優しくして下さり、患者さんに対するちょっとした言葉、例えば私が「ばい菌を殺すお薬です」という説明をしていたら、「高齢の人に殺すという言葉はきつく感じられるからやめた方がいいよ」などと細やかな気遣いを教えていただいたり、「白衣はちょっと大きめを着る方が格好良く見えるんだ」というダンディなこだわりを伝授していただいたり、勝手に「父親と一緒に仕事をしたらこんな感じだろうか」などと思っていました。

初めて論文を書いた時に、共著者になる中林康靑先生の靑の字が、当時のワープロで印字することができず、先生に泣きついたら、「しょうがないなぁ。じゃあ、特別に森ちゃんだけは『青』でいいよ」と特別待遇にしてもらったこともありました。

三井記念病院での研修を終えて、なかなかお会いする機会がなく、いつかまたゆっくりお話しできればと思っていたのにとても残念です。


先生の言葉で一番心に残っているのは、大混雑の外来診療が終わった後につぶやかれた「患者さんを治すのはもちろんだけど、学問を忘れちゃいかんよ」という言葉です。

臨床医は、つい毎日の診療で手一杯になってしまいがちです。けれど医学の進歩はその毎日の診療の積み重ねの上にあるものだから、どんなに忙しい時でも探求心を失くしてはいけない。開業して15年経った今こそ、肝に銘じようと思います。

中林康青先生、安らかにお休みください。