もう三月も半分、

森皮フ科クリニック院長の中央林間日記 は移転しました。

約2秒後に自動的にリダイレクトします。

書き物仕事が多くて、最近全然ブログが更新できていませんでした。

その間に世間ではいろいろなことがあったみたいですね。

 

特に気になったのが、児童虐待のニュース。

母親が、三歳児の火傷にラップを巻いて放置していたというもの。

もちろんこの母親に非があるのは間違いないのですが、

彼女はネットで「ラップ療法」を調べて、この行為に及んだようです。

私はこの「ラップ療法」なるものについて、いつかこんなことがあるんじゃないかと不安に思っていました。

 

「ラップ療法」とは、主に褥瘡(寝たきりの方におこる床ずれ)に対して行われる治療法です。その昔、褥瘡に対してはイソジンなどで消毒をする治療が主流でした。ところがこの消毒療法は痛みが強い上にむしろ創傷治癒を遅らせることがわかり、消毒をしない湿潤療法が行われるようになったのです。「ラップ療法」は、その湿潤療法を家庭にある「ラップ」と「紙おむつ」だけで簡単に行うことができるとして、かつて老人病院などで盛んに取り入れられました。いまでは同様の効果のある医療用衛生材料が数多く存在しているため、本物のラップを使った「ラップ療法」を行っている病院はないと思います。しかし、今でもインターネットを検索すればラップ療法の記事は出てきますし、そこにはさも最新かつ最良の治療であるかのように書かれています。そして問題なのは、「ラップ療法」はやり方を間違えると細菌感染を引き起こし、重症化してしまうことです。

「ラップ療法」を考えた医師にも、それを記事にした医療従事者にも、けして悪意があったわけではありません。その時点でできる限りの治療を考案し、それを広めようとしたのです。ただ予想外だったのは、当時まだ発展していなかったインターネットのせいで、医療に関する知識のまったくない素人(しかもかなり後の時代の)の目にも止まるようになってしまったことでしょう。そのせいで、罪のない子供が可哀そうな目に遭い、かつて日本の老人医療を支えた治療が汚名を着る羽目になってしまいました。

 

まあ簡単に言うと、「ネットの記事を鵜呑みにしちゃダメ」というだけの話なんですけどね。

 

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