広島の学会で

森皮フ科クリニック院長の中央林間日記 は移転しました。

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広島での学会の前に、ちょっと足を延ばして宮島に行きました。

お目当ては、厳島神社でも、もみじ饅頭でもなく、コレです。



疥癬

疥癬にかかった人が触ると疥癬が治り、不心得者が触ると疥癬になるという不思議な岩。
迷信だよと言ってしまえばそれまでですが、私はこういうのには理由があるだろうと思います。

例えば、日本の各地にあるイボ取り地蔵は「触るとイボが取れる」というものですが、これにはちゃんと理由があります。

信仰心のある人がイボ取り地蔵にさわると、自己暗示によって免疫力が高まります。

この免疫力がイボウィルスを撃退するのです。

ところで、疥癬というのは、皮膚の中に寄生するダニの一種です。

現代でも、高齢者の多い病院や介護施設では頻繁に流行します。

(特効薬があるので、昔ほど治療に苦慮しませんが)

しかし残念ながら、いくら免疫力が高まっても皮膚の中に住むこのダニを駆虫することはできません。


なら、なぜ疥癬岩に触ると疥癬が治るのか?

以降は、完全に私見です。

私もなんだかんだで25年くらい診療をしていますが、

疥癬にかかったかもしれない」と来院する患者さんは、半数以上が実際には疥癬ではありません

みなさんおっしゃるのは、「周囲に疥癬にかかった人がいて、自分も体のあちこちが痒いので疥癬にかかったに違いない」

たしかに本当にかゆいらしく、あちこちに掻き傷がいっぱい。でも、調べてみると疥癬はいません。

これは、どういうことか?

実は人間というのは、周りに疥癬の人がいると聞いただけで、かゆみを感じてしまう生き物なのです。

あえて病名をつければ「寄生虫妄想症」となるか、「皮膚そう痒症」くらいにしておくべきか。

そしてそれは、おそらく自己暗示で治るはず。


つまり疥癬岩は、皮膚に住む疥癬ではなく、頭の中に棲みついた疥癬を治すというわけですね。

(逆に自分が悪人だと自覚している人は、罪悪感から「寄生虫妄想症」に取り憑かれてしまうのでしょう)


いやぁ、人間って不思議ですね。